2009年4月24日金曜日

正しくなくても

 我が家の長男は丈夫な子で、医者知らずです。ところが次男は少し弱い子で、通院回数が多く、体質改善の薬も毎日毎晩飲んでいます。それを見ている長男は薬(シロップ)が飲みたくてたまりません。「僕にも」と口を開いて待っています。「これは風邪薬なの。お兄ちゃんは風邪ひいていないから飲まなくてもいいの」「少しだけ」「だ~め」などという会話をいつもしていました。
 あるとき、ユニケの会で読んでいる『小さなおうちからの贈り物』(片岡栄子著)の中で「毎日足に薬を塗ってもらう弟の水虫をうらやましがる兄に、水虫の説明をするよりは、根治水をぬってやったほうが納得したかもしれない。自分と同じほど愛されている者が他にいることで寂しいと感じさせるのはやはり愛情不足なのだろうか」を読んだ時、長男にも薬を飲ませてあげようと思いました。その日から弟が飲んだ残りを口の中に「チュッ」としてあげると「あま~い、おいしい」と満足した顔をしていました。私も「だ~め」を言わずにすんで気が楽になりました。これでもいいんだ、正しいやり方でなくても人に優しい方がいいなと思いました。
 その長男が最近、顔と首にカブレが出来て、初めて自分の薬をもらいました。「これは、お兄ちゃんのだからね」とそれはそれは嬉しそうでした。長男の顔に難航を塗りながら、案外このカブレは「神様からのプレゼント」かもしれない、と思うと顔のブツブツが急にユーモラスに見えてきて、涙が出るほど笑っちゃいました。「プレゼント?」と不思議そうな顔をしていた長男もつられて笑い出しました。(K.T記)

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