2009年3月9日月曜日

はなのすきなうしによせて

2月のろばの子のお話の絵本「はなのすきなうし」は1936年スペインの内戦のさなかに書かれました。国中が争いに巻き込まれている最中でしたので、フェルジナンドが他の牛と違って闘牛にはまったく関心を持たず、いつも牧場の片隅で花の香りをかいでいた姿は、平和を願う優しい心と重なります。
偶然のいたずらで闘牛場に連れ出されたフェルジナンドは見物客の歓声にも闘牛士達の必死の挑発にも動じないで、投げ込まれた花のかおりをいつものように楽しみます。自分にとって本当に大切なものを知っていてそれを愛し守り通します。そして、フェルジナンドが幸せであることを知って理解してくれるお母さん牛もとても素敵です。母として子供をせかさず、ゆったりと見守ることがなかなか出来ない自分に気づかせてくれます。神様がそれぞれに与えて下さっている良いものを信じて喜んで毎日を過ごしたいと思わされました。      

2009年2月27日金曜日

夕焼け空と母の顔

 昨年の夏(1998年頃)のことでした。家内は留守番をし、私と息子は群馬県の野反湖に2泊3日のキャンプに出かけました。私は初めての息子と2人きりのキャンプで少々不安がありました。息子の方も不安があったと思います。
 前橋・渋川を越えて西に曲がって草津方面に向かった時には、すでに夕暮れでした。夕日が山を照らし、空は茜色に染まっておりました。私は、車を運転しながら息子に語りかけました。「ほら夕焼け、きれいだね!」私は息子と自然の風景に共感を覚えたかったのです。ところが、息子の方は1テンポ遅れて答えました。「僕の目には、お母さんの顔しか見えない。」息子は意を決して母親を離れてきたのですが、他方ではお母さんのことだけを考えていたのです。
 キャンプ場に着いたのは夜中の10時過ぎでした。それでも息子はヘッドライトを付け、荷物を積んだリアカーを元気よく引いてテントを張る場所に向かいました。次の日もキャンプ場にいた他の子達と仲良くなって遊んだり、湖に飛び込んで泳いだり休日と自然を満喫していました。しかし、その夜、少し心細くなって、急遽、帰ることになりました。帰り道もまた母親の顔を思い浮かべていたかは分かりませんが、互いにほっとして家路につきました。
 このキャンプを通して、子供の成長の1コマを見る思いでした。一方では、親から離れて自立していこうとする心があり、他方では親との絆の中にとどまりたい、という心があります。その2つの心がほど良く綱引きをしながら、成長していくのだなと思ったのです。     (牧師 前野)